食われるとはどういうことか

何気なくついていたテレビから流れてきた。
楳図 かずおに『14歳』という、それ以降漫画の筆を断たしめられた作品があるとのこと。それにまつわって楳図さん自身が語っていた。食べられるだけの鶏に何の意味があるか。鶏のみならずオキアミとかもっと小さな生き物はどうなのか。自然はやられるだけでは終ってない。食べられる時点では力関係で何もできないが、食べられた後、復讐する。それが病気だ。

14歳 (8) (小学館文庫)

14歳 (8) (小学館文庫)

聞き入ってしまった。人間は食われなくなって、自然的存在ではなくなった。食うばかりで、双方向性を失った者には、食われることは想像できず、決して受け入れられないネガティヴな事柄の最高峰だ。つまり、逆説的に食われることは救いである。食われるということは生き物が世界を紐帯としていることの証、無我の最高形態。そんなふうにぼくには思えてきているときだからこそ、その対極みたいで、興味深かった。