死を看取る中学二年生

末の娘がこの夏、猫を看取った。 生まれて数ヶ月の野良猫が3匹幼稚園の物置のひさしにちょこんと現れた。娘たちが見てかわいさに声をあげ、ちょっと弱ってるので医者に連れて行きたがったが、祝日だったのでできなかった。その翌日1匹だけがぐしゃりとした…

ライブ(ゼミ)のお知らせ第2回―キーワード篇―

前回のブログでお伝えしましたゼミの1回目まで1と月もなくなり、日々準備をしています。というのは、ウソで、日々の仕事に追われてるので、こういう媒体でも使って想定しています。 興味ありそうなワードがあったら、どうぞお越しください。第1回 西谷啓治…

ライヴのお知らせ(ゼミ)

先日あったシンポジウムは打ち上げ花火でそれっきり、ではなく、フォロー研修がある企画なのです。なかなか面白い企画ですよね。おかげで、もう3回、京都で話をする機会をもらいました。形式はゼミ。「とも生きゼミナール」の銘打たれております。先のシンポ…

ありがとうとありがたいの差異

「ありがとう」という言葉を説明する時、とかく(とくに坊さんは)「有ること難し」を持ち出す人がいる。 なんか違和感 存在の秩序を人情の秩序に越境ずり落ち ありがとうは誰かにいう ありがたいは無限定的なものを呼び起こされる感情あるいはそれに呼び起…

ライヴのおしらせ(シンポジウム)

イベントのお知らせです。 京都であるシンポジウムに呼ばれて、久々の京都ライヴです。メインゲストはすげー人だし。たのしみ。どうぞお誘い合わせの上、ふるってご参加ください。 子育て中の親さん、教育関係者をターゲットにしたいようなのですが、まあテ…

子どもの言葉ー頭が悪いと感じない

高一娘が食卓で昔を語る。京都にいた頃の話である。2歳頃であろう。2階の部屋にテレビがあり、夜電気を消してテレビの青い光だけが灯っている状況が想定される。「トムソーヤの冒険」はファンが多いアニメであろう。ぼくも大好きだが、娘はそれ以上に好き…

パクチー

世はパクチーブームであると聞く。そこで、数年前に書いて日の目を見なかった記事を上げようと思う。パクチーが普通に売っているようになって、当時と状況は変わった。それどころか、「パクチーキャンディー」なるものまで出ている。確かにパクチーの味がす…

悲しくてやりきれない

妻が録画していたテレビ番組を見せてもらって久しぶりに、身動きが取れなくなって脱力する名曲に出会った。コトリンゴの「悲しくてやりきれない」。昔からある有名な曲だから耳には何度だって入ったことはある。昨夏に上映されたアニメ映画の挿入歌らしいが、…

痛みの恵

痛いのに私は弱い。痛いのはイヤだし、避けたいし、末期ガンになって非道く痛むようなら、痛みを抜く処置だけはして欲しいとも思っている。 で、この年末だいぶ痛みにつきまとわれている。8月にもあったのだが、寝違えのような首の痛さから始まって首から肩…

坊主が聖書を

葬儀の後、棺に花を入れる時、亡くなった人の奥さんが外国人だったのだが、その一族が歌を歌い出した。私は読経をやめてその光景に見入った。やがて棺を囲んで輪になり、十字を切った。 遺体を焼いた後の還骨勤行の最後、法話の時に、私は聖書の話をした。あ…

人はいつ尊くなるのか

「尊い命を大切に」ということがぼくにはよくわからない。命を惜しむということ、命が終われば私が終わり、それは「たったひとつの命だ」ということは、尊いということではない。2016/3/16のブログ《「全日本尊いいのちに感謝教」によって仏教は死んだ》のつ…

「吾輩は猫」の居るところ

「吾輩は猫である。名前はまだない。」これほど有名な書き出しをもった小説も稀であろう。 名前がないということは、「猫」一般であって、あの猫その猫であって、この猫という特異性を持たないということである。名前がはりめぐっている人間世界に居場所がな…

食べるとき歴史がおとづれる

夕食に妻とパスタを食べに行った。ジェノベーゼが私は大好物である。ジェノバペーストをからめたパスタで、バジル好きだった私は初めてそのパスタを食べたときは感動した。いや、ジェノベーゼを食べてバジル好きになったのかもしれない。初めて食べたときの…

子どもの言葉;何とはなく抱く思い・でも根本的

おぼうさんと ろくろくび (だまし絵・かくし絵・さかさ絵で遊ぼう! おもしろ妖怪、お化け紙芝居)作者: みやざきひろかず出版社/メーカー: 教育画劇発売日: 2015/09/01メディア: 大型本この商品を含むブログを見るみやざきひろかず作「おぼうさんとろくろくび…

広島平和記念資料館

広島平和記念資料館に行った。広島へ行く予定は数ヶ月前からあったが、はからずも、今日本でもっともホットな場所となったと言ってよいだろう。 今回初めて音声ガイドの装置を借りた。展示してある解説以上の説明があり、私のような想像力の乏しい人間には大…

遠くなりにけり

朝、洗面所で娘に「父さんは子どもみたいなもんだよ。でかくてしわがあってひげがあるくらいで。うちはもう大人だけど」などと言われた。そんなことを言う双子の娘が中学にあがった。そうなってから、気づいたことがある。小学校との距離だ。 全く意識はして…

あしたのための声明書

ひとはすぐ忘れるから。 震災の影で、言論統制につながる法案を通す人がいるようだから。 報道規制が着実に強まり、清原つかまえて朝夕報道させる裏で物事を行おうとする人がいるようだから。 安保法案が通ったころにネット上で見た言葉を、今、思い出してお…

友達に悩むすべての人へーー重松清「きみの友だち」を読んで!

友達って? 「みんな」って言うけどみんなって何?誰? そんなふうに考えちゃって悩んでる人、そんな風に自覚はしてないけどそんな事態に見舞われてる人、友達関係に苦しんでる人、いじめられて苦しんでる人、こういったひとたちに手渡したい本です。すべて…

「全日本尊いいのちに感謝教」によって仏教は死んだ

創唱宗教と自然宗教という概念が今でも通用するのかどうかは、宗教学の研究状況を知らない私には分からないが、その装置を借りて話す。 自然宗教は、人が生きていると「自然に」出てくるもの、親を敬うとか先祖を崇拝するとかいうものを内容とするような宗教…

あきれた議員舞立昇治

ある弁護士の歓迎会で、あいさつに自民党の舞立昇治が立った。そこで、彼は以下のようなことを言った。「私は三権分立のうちの二権、立法と行政に関わらせてもらっている。それで、司法は苦手である。最近自民党は、安保法案などでも意見だとか何とか言われ…

初体験

今日、生まれてはじめてフラフープができた。

天使インフルエンザ

インフルエンザにかかったおかげで、大変な時間を恵まれた。 何にもしなくていい時間。時間を気にせず、いつまでを気にせず、何時間だって何度だって寝ていい。ずっと寝てていい。娘のこじんまりした部屋に隔離されているので、人は寄りつかない。なのにご飯…

言葉がわからない電力会社

「島根原子力発電所 低レベル放射性廃棄物のモルタル充填に用いる流量計問題に関する調査報告について」という、タイトルを見ただけでは何をするか分からない、中国電力主催の会にい行ってきた。このタイトルのわからなさは誤魔化しがあるからです。中電がそ…

阿弥陀仏信仰とARBあるいは苦しいときの弥陀だのみ

浄土真宗という宗教は親鸞を教祖と仰ぐ教団である。その宗教は修行をしない。あえて言うなら、法話を聞くことが修行である。そして法話を聞くことが一番大切なことだとする宗教である。なので、あちこちで法話を聞く機会がある。 講師は当然親鸞や阿弥陀仏に…

メリークリスマス

わが家にはサンタさんは来ない。寺に住んでるから、仏教徒だから、それらは理由の一つ。キリスト教徒でもないのにクリスマスを祝わなくてもいい、とも思っている。仏教徒ぢゃなかったとしても、そしてサンタの格好がコカコーラ発のスタンダードであることが…

力に依拠しない世界を

「力」とは別の仕方で語ることの必要を感じ初めてからもう10年以上たつが、そういう言葉世界を開くのさえはかばかしくない。たとえば、聞くことが大事だというのを幼稚園でも語り続けているが、そこでつい「聞く力を育みます」などと言ってしまう。いやだな…

平穏無事なんて

佐野洋子の「死ぬ気まんまん」という本のタイトルを見て、二番目の娘いわく。「おもしろいタイトル。死ぬのもいいと思う。もし、死んで地獄とかなかったら、目が閉じて暗いまま、息もなくて、焼かれてそして何もないなら、地獄とかあった方がいい。」平穏無…

名月のもとで思う

名月や池をめぐりて夜もすがら 芭蕉 池をめぐるというのだから、月を見ているのではなく、月がうつっている池を見ている、さらには月の照らす世界を見ているということであろう。夜もすがらというのだから、一晩中月をながめ、眺めあかすということであろう…

棒倒し民主主義

民主主義という翻訳はよくない。デモクラシーは民主政治であって、「主義」などと曖昧なことを言うから野放図に広がって薄まり、本質を見失うのである。僕は大学の時の先生にこのことを学んだ。しかるべき領域の言葉であり事柄であるという制約を確認してお…

14歳の女子

中学2年の娘と父親の関係というのは、一般的に言っても簡単ではない。うちの場合、二言目には「ウザ」「キモ」と言うのが常態であるが、二言目ではなく一言目であるとか、そもそも一言もないとか、それによって関係は相当違いがある。何を言われても即答の…