2008-01-01から1年間の記事一覧

悪いと欲しい

充はゆり子が好きだった。というよりむしろ、彼女がハンカチを使う姿に参っていた。その白いハンカチが、いつしかほしくなっていた。充は、誰もいない教室で彼女のハンカチを盗むに至った。教室から出るとき、直子とすれ違い、目があった。彼は、急いでその…

子どもの言葉(20)帯の色が意味するもの

息子のならっている空手の流派では、子どもは級が上がるごとに帯の色が白−緑−茶−黒と変わるらしい。ある日の彼の話。 帯の色ってこういうことだと思うよ。白帯は、種の中が白いでしょ。芽が出てくるところ。それが緑帯になると、芽が出て大きくなって緑にな…

宿題よりも

夜、宿題をしようとしていた息子が何気なく話しかけてくる。「今日黒ダイヤを友だちにプレゼントした。黒ダイヤって炭のこと」。ぼくが、先日見た、砂鉄と木炭とで譆(けら)という鋼のもとができるという、たたら製鉄を思い起こしている間に、トリュフの箱…

子どもの言葉(19)無敵

「宇宙人と友だちになりたい。そうしたら無敵だ。いや、妖怪かな」という息子。ぼくは応えました。「無敵なものなんて、なかなかないよ。あるとしたら、死なないものだね。」さて、みなさんはこの問いになんと応えますか。彼はちょっぴり考えて、曰く、「わ…

食われるとはどういうことか

何気なくついていたテレビから流れてきた。 楳図 かずおに『14歳』という、それ以降漫画の筆を断たしめられた作品があるとのこと。それにまつわって楳図さん自身が語っていた。食べられるだけの鶏に何の意味があるか。鶏のみならずオキアミとかもっと小さ…

子どもの言葉(18)鳥の弱点

「鳥の弱点って知ってる?」と自転車の後ろ座席から小一の娘。「んー何かなあ?」「鳥の弱点。一人」「え?」「みんなが飛ぶとすぐ飛ぶよ」。こんな観察力と推理力があったとは。

波って何だ!?

パキスタンタリバン?

アフガニスタンで伊藤和也さんが殺害されたことにショックを受けている。ペシャワール会の、あの中村哲のペシャワール会の人が殺害されたことに大変なショックを受けている。

吐く。何を?

きのう、遠くから珍しいお客さんが来てくれた。京都時代の学生さんで、「ちゃんと考える会」というサークルを一緒にやっていた人たちだ。そのサークルは環境問題をメインにして、その他種々のテーマを巡ってちゃんと考えようと試みていた。原発促進派と反原…

どこでもドアの行く先

「どこでもドアがあっても」と息子が言う。こんな時どこでもドアがあったらななどという軽口を、アンチドラえもんのぼくが、叩いてしまったあとのことだ。「地獄と餓鬼、お浄土には行ってみたくない」と言う。どこでもドアの「どこでも」は地理的な「どこで…

子どもの言葉(17)幸せとは

正月のメモ書き発見。何の脈絡か、幸せって何かってな話になったようだ。当時年長組の娘曰く「仲良くくらすってこと」。当時2年生の息子曰く「サーモンをいっぱい食べられること。」

カブト泥棒は逮捕する

今日もカブトとりに馳せ参じた。雨上がりの夜中、12時過ぎ。たいてい10時頃か明け方かで、こんな時間に行くのは初めてだ。時間帯のせいか何か、カブトの一匹も見あたらない。昨日の明け方はコクワガタばかりが4匹とれた。うち一匹はヒラタクワガタと見…

子どもの言葉(16)すべての人には土地が

「ぼく、土地がほしい」と、息子。「え?」とぼく。「土地があれば名前が変わる。何々の守(かみ)何々っていうでしょ」「きみ何時代の人やねん!?」と笑ったのですが、「かみ、すけ、じょう、さかん」のかみでした。 風呂から上がるぼくを待ちかまえていた…

子どもの言葉(15)雨・花・佛

梅雨のころ雨のふりしきる朝、庭を見ていた息子が言う。「ひめじおんってすごいね・・・・や、花はみんなそうか・・・・花って佛さんぢゃない!?」 話が網羅的で長い。しかもとぎれとぎれ。間が悪い。そんな彼にイライラさせられることは少なくない。でも、…

赤塚不二夫さんの訃報にふれて

赤塚不二夫さんが亡くなられた。その大変なお仕事をたたえるべきかもしれないが、そうとうパンクだという印象がある程度のぼくにそれはできない。アクの強いキャラクターがたくさんで、存在は言葉と一つだと言わんばかりに、その個性にならった発語がある。…

吐く。何を?

きのう、遠くから珍しいお客さんが来てくれた。京都時代の学生さんで、「ちゃんと考える会」というサークルを一緒にやっていた人たちだ。そのサークルは環境問題をメインにして、その他種々のテーマを巡ってちゃんと考えようと試みていた。原発促進派と反原…

子どもの言葉(14)機械といきものとの違い

「細菌と人って似ている。細菌が人の体にすみ、人も細菌に助けられている。」こう話しだした小3息子、話は展開します。「人間の体の中にある一つひとつが、生き物みたいで機械みたい。」私がつっこみを入れる、「生き物で機械ってのがよくわからない」。「…

虫とりは余子神社

虫とりの夏だ。 このごろ、近所の余子神社でかぶとやくわがたを見つけて、手に入れて、よろこんでいる。 引っ越してきた4年前の夏、境港にはクヌギがあんまりないことを知り、また余子神社に大きなクヌギがあることを知り、時々行ってみた。たいてい人が来…

不審者の落とし穴

通り魔事件があったり不審者情報が頻繁に流れたりすると、どうしたって心中穏やかではいられない。特に百人近い園児を預かる施設の長である以上、具体的な対応もとらねばならない。 この春、近所に不審者が出たという情報を得た翌日、不審者対策避難訓練をし…

三年生の心の闇

倦怠不良のような雰囲気を漂わせていた数週間前の息子がある朝ぼくに向かってぼそっと言った。 「ねえー・・・心の闇が大きくなった。心の中に穴が空いているみたいな・・・・。」彼なら、借り物の言葉ではなく、言いそうなことだ。でも、今はそれをそらして…

子どもの言葉(13)おしっこは汚くない

3年生の息子曰く、3年○組の人はみんなおしっこは汚いっていうけど、あんまりにがくもないしちょっとしょっぱいだけ。

クールアースデー

クールアースデー 政府公報は以下のことを言っています。>>クールアース・デー 豊かさや便利さを追求するために、大量のエネルギーを消費してきたこれまでの社会は、地球温暖化をはじめとする環境問題やエネルギーの枯渇問題と いった、人類にとって深刻な状…

或る夜の食卓での会話

キュウリを丸ごとほおばりながら息子がしゃべり出す。「キュウリをずっと口に入れてて体の骨になってほっぺから4本牙で“ビルバアサ”(という猪がいるらしい)みたいに・・・」、娘「ちがうよ“ばばばあさん”だよ」、息子「ビルバアサみたいに歯茎の外に牙が…

キャンドルナイトで魚の話

100万人のキャンドルナイトに参加した。息子を誘った。「キャンドルナイト行こう」「何それ?」「以前寺であったのに行ったじゃん」「ああ、ああ、話はおもしろくなかったけど、お菓子がおいしかったから行く」と子どもらしい答え。一寸間をおいて、「お…

初アジカン

アジアンカンフージェネレーションのライヴに行きました。ロックのライヴはやっぱりいいなあああ。中学生の時から変わらないドキドキ感。変わったのは、中学生の頃は前も後ろも横も自分より高い人壁にもまれ圧されていたけれど、今は頭がゆうゆう飛び出て空…

軽薄(訂正版)

日常生活では軽薄なのが好きで、自分自身もケーハクに見られることがあると、うれしい。だって、深く考えてしまう業を負ったものとしては、おのれの顔が思索中に険しくなるらしく、それなら頻繁に険しい表情をまとっていることが推測され、こりゃ人相悪いよ…

色のない世界

中学校生の頃から、ぼくの格好は「派手だ」とよく言われた。逆立てた髪型はよく「寝癖?」と言われた。とかく「人と違う」「変わった」風体だったのだろう。大学でお世話になった先生には「インディアン+パンク」といわれおもしろかった。でも、大学生の頃…

四歳児が死ヲ想ウ

夜、末の娘が急に泣きながらぼくに訴えかけてくる。 「エイクン死ンヂャッタァ」とぼろぼろ涙を流している。土曜日にエイが家に来ていたようだ。しっぽを触るといけない、毒があるからとかなんとか、息子も騒いでいた。小さな水槽に、エアポンプのようなもの…

ブッダの言葉を語るのは誰か

大学を辞めて以来、園児とその保護者以外の、大勢の人の前で話をする機会を久し振りに与えられた。島根県の金藏寺という由緒あるお寺での話だ。それを講話と呼ぼうが、講義、お説教、法話、その他なんと呼ぼうが私自身はかまわないのだが、お寺での話は法話…

体の声に耳を塞ぐ日々

体を動かす日が二日つづいた。 めづらしく六時台に帰ってきたぼくを捕まえて妻が子どもたちとともに陸上競技場に連れて行ってくれて、トラックを歩いたり走ったりした。単調で退屈に思えたものの、帰る頃にはもうちょっと走っていたいと感じていた。走った後…