2007-01-01から1年間の記事一覧

アンチ・ブログ

以前学生さんにブログを勧められた時に、言ったらしい。ひとの日記なんて読んで何がおもしろい。そんなことする気はない、と。そんなこと言っておきながら一年後にブログをはじめたので、その学生さんは、舌の根も乾かぬうちにという抗議をしたのでした。で…

触覚対話

私の肩の骨の出っ張ったところを触りながら息子が、飛びでてるとか曲がってるとか言う。ぼくの指の音波を飛ばして返ってきたからわかるとか何とか。それから今度は、柱をさすった後、叩いて曰く、「ポンと言う音は、手と柱がお話してるみたい」。 「ほんとだ…

青空授業

前回、言葉をめぐる講義は言霊の話を通って、言葉がそれによって言葉たりうるところの象徴性・抽象性と、身体に根を張った具体性という、振幅を見た上で、「言葉とは、象徴性の衣をまとった息吹である」という規定まで辿り着きました。 そこで次なる絞り込み…

死者への手紙

幼稚園で10年以上もくらした茶色のちゃぼ“ちゃちゃ”ちゃんが26日夕方、もはや目を開けることがなくなった。 死んでしまったのであろう。彼女の居場所は、あるいは行った処は、どこなのか。それを、先回のブログに挙げた村上鬼城の句にならって言いたいと…

小春日和はひなたぼこ

屋内で座り仕事をしていたら凍えるようだったので、ぬるんだ湯を沸かしなおして、前園長の遺産で冷蔵庫に眠っているこぶちゃを入れて、すする。 まだ寒い。外のベンチで日向ぼっこしながら、園児と群読する俳句を物色する。 大木に日向ぼっこや飯休み 鬼城 …

The Birthdayのライヴに行きました

The Birthdayのライヴに行くはめになった。米子ベリエというライヴハウスも初めてで、いいとこだった。「ロックの」ライヴはやっぱり愉しい! 普段ではしないような体の動きが飛び出すので、関節も喜んでるだろう。TEARDROP(初回限定盤)(DVD付)アーティスト:…

James Turrell“Open Sky”によせて

天井に開けられた四角い空虚から 青空が降り 明るみに座り空の天井を見上げる表情たちは明るい それでも人は見上げてしまい 開かれた空 切って限って開く 青空が青空すぎて 四角く塗り込められるから けれども 輪郭を揺るがせにじり寄る青の力 開く空 限るの…

直島、地中美術館にて

穴が、地中美術館にも砂浜にも岩場にもパオにも、あった。 穴とは、出入りのあるところ。 出入りとは、異次元の落差に身を晒すこと。 異次元またぎは眩暈。

山へぱんを買いに行こう;「コウボパン 小さじいち」というお店

さわやかな秋の一日、大山にある気合いの入ったパン屋さんへ行って、ランチもいただきました。あきらかに、食べてしまってから気づいてあわてて撮ったというのが丸出しの写真ですが、それでもおいしそうでしょ? 天然酵母の力が10日間をかけてパンを膨らま…

會津八一『鹿鳴集』随想

唐招提寺にて おほてらのまろきはしらのつきかげをつちにふみつつものをこそおもへ奈良の大学で講義をしているので、この歌を学生に紹介した。せっかく奈良にいるのだから、この歌の状況に身を投じて見るとよい。そこで「ものをおもふ」時、八一と同じ時空に…

栗名月

月が明るい夜だ、星が少ないのはそのせいかななどと思いながら、墓場を通って夜中に奈良から帰ってくると、妻が話してくれました。 今日、妻が友だちの母の家に行くと、玄関に薄やいもなどが見事に飾ってある。その人曰く、昨日の月見のあとなのだと。 おお…

名前が変わって変わるものとは

うちの幼稚園の先生が結婚するにあたり名前が変わった。明日から名前が変わるということをクラスの子どもたちに告げた、その翌日のこと。 子どもたちの様子が何だか違うという。遠巻きにその先生を伺うように見ている。にこにこしてるけど避けていく。ドアの…

ゴア・IPCC・京都

昨日の新聞の一面には、ゴア氏とIPCCのノーベル賞受賞と京都四条通でのトランジットモール実験とが並んでいた。 COP3(地球温暖化防止会議)の時、たくさんの人を誘って温暖化防止パレードに馳せ参じた。京都議定書を巡って議論が難航していたが、パ…

感受的思索

前期、「生老病死の感受的思索」という講義をした。そこで「感受的思索」という言葉をでっち上げた。感受というところは、「感性」でも「感覚」でもよさそうだが若干、意にそぐわない。 ぼく自身、高校生や大学のある時期までは、感性がすべてみたいなこと漠…

子どもの言葉(9)

美事な月を見て長女いわく、「世界中のみんなが入ってる」。それにたいして息子が、月光というのは太陽の光が・・・と説明をしだしたが、正しくても空振りの言辞。 ところで、このごろバカ親ブログになっていて、おのれの子どものことを語った文章なんて、他…

子どもの言葉(8)

風呂の中で突如長女がたずねる。 「ウチたち(私たち)ってほんとはお話?」 おもしろいことを藪から棒に言うなあ。背後世界を予感させるような発想だ。その真意は即座には合点できぬので、問い返した。「お話って?」 「お話だったらヤだもん。生きてる方が…

ある日の散歩

子どもとの散歩はにぎやかだ。先日、通ったことのない道を発見。道がパッと開けると、そっちに行かずにおれない。道がいざなっているとしか言いようがないほど。しかも緑のトンネルが続いているので子どもたちは当然そっちに駆け出す。 出遅れた息子が、立ち…

笑い転げる

うち風になる。そういって風の中の高原を駆け出す長女。 ごろごろ競争しようと誘われ、坂に寝転がり転がり落ちる。 思いの外に回転速度も降下速度も早く、笑いながら転げ落ちる。 これはおもしろい。ごろごろ転がって真っ白だ。次にはちゃんと目を開けて。そ…

子どもの言葉(7)暑さと冷たさはどうつながるか

娘が皮膚科に行って液体窒素でイボを焼いた。マイナス180℃なのだが、白い煙が上がっていて、その液体のついた綿棒を患部にあてると、熱い! と感じる。娘にどうだったかたずねると、熱かった、といった後、冷たかったと言った。 既経験者である長男に、冷た…

大きくなったら何になりたい

うちの幼稚園では誕生会で誕生月の子どもが、大きくなったらなりたいものを皆の前で言うことになっている。最近気になっていたのだが、「大きくなったらケーキ屋さんになってケーキを売りたいです」という人が多い。ケーキ屋が人気だということではない。「…

漢字工作

昔の人の暮らしとかいう事典をみながら石斧、槍、弓矢を作ってみたり、理科の実験的なことをしてみたりが好きな息子が、ぼくが帰るとこんなものを見せてくれた。 [ 竹串を切って作った弓矢。その形は、「弓」という字と「矢」という形をしてる。その後、弓と…

子どもの言葉(6)

地球儀を手に入れた息子が、それを眺めながら驚いて曰く、 「はじめて知った! 日本が夜なら世界中どっこも夜だと思ってた」

中沢新一氏によるブランコの叙述

学生時代から何回か中沢新一の講演に足を運んだことがある。終わってから、彼を取り囲む女性の群れをかいくぐって質問に行くと、目がハートになったファンの本にサインしたりしながら、いつもちゃんと答えてくれて好感をもった。拙著を進呈したときはタイト…

子どもの言葉(5)ブランコ

「とうさん、ブランコいいって言うまで押して」五歳の娘がそう言いつつブランコに座る。そこで背中に手をかけるや「空まで行けるかなあ」と三歳児のようなことをいう。彼女は本当にそう思っている。多分空まで行けないだろうとは思っている。しかし、行ける…

子どもの問い(7)

土はどうやって作られたの? 五歳の娘の問いですが、その問いに答えられるような研究が足踏みして何年にもなります。再開・着手はいつになることやら。興味関心は衰えてませんけどね。

『きつねのぼんおどり』

お盆の行事に疎いぼくは、いささかその由来を考えるお盆でした。で、『きつねのぼんおどり』という本を紹介しましょう。きつねのぼんおどり (エルくらぶ)作者: 山下明生,宇野亜喜良出版社/メーカー: 解放出版社発売日: 2000/07メディア: 大型本 クリック: 3…

小瓶

京都時代、講義時間中いつも小瓶を机上においていた。九十分の授業は途中でのどを潤す必要がある。当時はけっこうなエコロジストだったこともあり、ペットボトルラッパ飲みはしたくない。美しくないし。それに、がぶがぶ水分補給したいんではなく、ほんと潤…

三人の娘と一緒に海へ行く。その途上、下の娘が「雨は海だよ」と言う。「おお! そうだね」と応えて、幼稚園での環境教育の成果かなと漠然と思いながら、進む。海に着いた途端、大粒の雨がボツリボツリと当たり出す。夕立だ。先ほどの娘が再び「雨は海だよ。…

子どもの言葉(4)

娘が母の日に描いた絵、今まで見たこともなかった風合いの絵、それを見ながら彼女が言いました。「うちも描けんと思ってたけど、描けた。」それを聞いて、ほうと思い「Cちゃんもかけないと思ってたんだ」と言ったら、すくさま「「誰が描かせてくれたのかな…

境高校野球部主将の言葉

境高校野球部が甲子園出場を決めた。決勝戦の試合後、キャプテンへのインタビューがあった。勝因など、おきまりの内容についてやりとりがあった後で、「キャプテンとしてどのようにチームをまとめてきましたか」という質問に対し、一寸間をおいて「ぼくはチ…