初雪の日に

2004年7月に、『花はどこに咲いているか――Jポップで哲学する』という本が上梓されました。この本をネタに、このブログをはじめたいと思います。というのも、著者はぼく、西元和夫だからというよりむしろ、ある方(http://d.hatena.ne.jp/trouble/)の言葉を借りると、「この本は、もう少し読まれても良い本だと思う」からです。
 ぼくは大学と専門学校で非常勤講師もしています。学生さんから以前より「先生のことをネタにしてるブログがあるよ」と聞いてはいたのです。ただ、うちのインターネット環境を見ればわかってもらえると思いますが、あまりそういう世界へのなじみが薄いもので、なかなかそのブログを見るには至らなかったのです。もともと機械音痴でアナログな人間なので、駅などで券売機を前に四苦八苦してる老人を見ると、あまりひとごとに思えない。それなのにひょんなことから、ブログを立ち上げることになり、それなら参考にしなきゃと思い、その方のブログを拝見しましたら、まあよくぞ拙著をちゃんと読んで下さいましたと言いたくなるほど、拙著をネタに論考下さっておりまして、嬉しうございました。そこの中で、上記の言い回しを見つけて同感したわけです。
 売れる本だとは、ぼく自身、思っていません。でも、もうちょっと売れてもいい本だとは思っています。ああいうたぐいのことを求めている人は少なくないはず。求めている人の手に、何とか落ちないものか。
 日に100冊もの新刊が出るご時世に、出版後一年も経った無名の本が、書店に残っているはずがありません。大手出版社が力を入れていて宣伝もガンガンやるというのならいざしらず、せまい本棚にぎゅうぎゅうになって一冊だけ挟み込まれてる状態で、たかがひと月ほどの間にそれを手に取るひとがいたとしたら、相当ラッキーだ、くらいに思われます。拙著は出版当時でさえ広告すらほとんど出していない。正確に言うと、出せなかった。その理由は、「あとがき」に書いたところの、出版が遅れた理由である「思わぬ事情」が、ここにも絡まってきたからです。辟易しました。
 たくさんの人に読んでもらうにはどうやって宣伝したらいいかしらと思っていた矢先、ある方がブログを勧めてくれたのですが、曰く「駅前の電柱にポス ターを貼り付けたくらいの効果はある」と。その言葉にそそのかされました。
 駅前や繁華街の電柱にポスターを貼る。高校生の時分に、しきりにやりました。バンドをしていて、いやバンドばっかりしていて、よくライヴ前にはビラ配りとビラ貼りをしました。そして、貼ったはずの電柱にポスターがなくなってると、せっかくの宣伝が無になるので悔しいような、でもファンのしわざだと思って嬉しいような気がしていたことを思い出しました。それで、かのたとえは、ぼくにはリアルなたとえだったので響いちゃったんですね。