めざせ赤ん坊の言葉

後期が始まった。一つは言葉についての授業。
言葉について話すのはむつかしい。話すのは言葉だから。言葉について考えるのはむつかしい。考えるのは言葉でだから。
「言葉で言葉を」話せば、言葉が二重になっている。それだけで複雑だ。単純な言葉、一重の言葉、それは生まれたての言葉。
空中から手品のように赤ん坊が生まれてくるのではない。生まれたての赤ん坊を目撃するとき、母胎も同時に目撃する。言葉だって同じはずだ。ただ、その母胎が何なのか、それが問題だけれども。
もぎたての梨のように、瑞々しく、食べた者を潤す、そういう言葉が出てきてやっと、言葉についての授業はナマものになる。