昼行灯

蛍の名所に連れて行ってもらう。予想外の車の数と人混み。見たこともない数の蛍。
蛍火には言う言葉がない。人間には言う言葉が噴出。
蛍に電気を向けるバカ
蛍に携帯の電気を照らすのと太陽に懐中電灯を向けるのは「現象」としては異なるが「本質」的に同じ愚行。
暗がりに足もとをすぐ電気で照らし目で歩こうとすることで、足裏感覚を研ぐ機会を捨てるバカ。
蛍が住み着くまでの十年の労苦を思い、敬服する。地域住民は蛍の町のため電気を消している。そこに来た「観光客」は電灯を平然と照らす。
どこへ行っても一時たりともしゃべることをやめないバカ。
息子に「返事しろ」といったことを後悔。彼は蛍の群をみて言葉を失っていたのだ。口を閉じたとき、はじめて聞くことができる。しゃべり続けるという出力モードの設定が変更しない人に、蛍の光が刺すことはない。
こっちが見るもの(主)、蛍は見られるもの(客)という構図(呑気というかゴーマンというか)がひっくり返る至福や健康は、輪廻の果てへさようなら。