子どもの言葉(5)ブランコ

「とうさん、ブランコいいって言うまで押して」五歳の娘がそう言いつつブランコに座る。そこで背中に手をかけるや「空まで行けるかなあ」と三歳児のようなことをいう。彼女は本当にそう思っている。多分空まで行けないだろうとは思っている。しかし、行けるかもしれないとも、きっときっと本気で思っている。ブランコに腰掛けただけで、そんな夢が見れ、そんな希望が湧くなんて、豊かなこころだよなあ。
いつか、「ここも空だ!」という逆転によって「空の中でブランコこいでる!」という実感へ放り投げやりたいとは思うけど、それがいつなのかは時という聖者に慎重に聞かないとわかりません。少し以前から、「みんな」という言葉を聞くと「みんなって言ったら世界中のみんなだよ」などと、ぼく好みの理屈をいうので、その「時」はそれほど遠くないかも知れません。