子どもの言葉(10)かけがえがないこと

数週間前、息子と話していた。だれでもやっていること、だれにでも代わってもらえることは、実はどうでもいいことで、代わりのないことがほんとは大事なことだ。“かけがえがない”っていうんだけど。ぼくが園長を辞めたって、また別の園長が来る。たいてい、ぼくらはかけがえのあることばっかやってるんだ。そんなような話だった。
ところがきのう、「かけがえのないこと考えた」と彼が言う。へえ、考えつづけていたんだなあ、と感心しつつ、「なあに?」と聞くと、曰く、
「名前。あと、生まれてから死ぬまでの暮らし。」