ぬりかべ

久しぶりに見た月は三日月。久しぶりに見たたくさんたくさんの星。天の川が氾濫したのかしら。田舎の夏の夜です。
ぬりかべカバンが話題になっていましたが、想像を膨らましていた方ごめんなさい。写真載せちゃいます。田舎の通りに売っている既製品、でも愛用品。
京都洛西時代のわが家にもぬりかべがいました。妻の創作。紙で目を作って、壁に貼ったら、ほらもう立派なぬりかべ。お休みモードの目と二種類あって、子どもを床に誘うのがぬりかべのお休みまなこだったのでした。二歳か三歳だった息子は、「ヌリカベサン、ネムイノ? オヤスミナサイ」とかなんとか、真剣にぬりかべと話をしていました。その壁の後ろの階段で、ぬりかべ役の声優は妻か私。そうして会話していたのですが、おもしろかったのは、何ヶ月か経った頃、息子がみずからぬりかべの声を声色を変えて語っていて、それにもかかわらず、ふたたび真剣にぬりかべに向かって話しかけていたことです。大人なら、ぬりかべの声にしても目が変わることにしてもタネを知ったら白けるでしょう? でもそうならなかった彼の、その時の心? 精神? はどういう状態なんだろう、と興味深かったのを思い出しました。