境高校野球部主将の言葉

高校野球部が甲子園出場を決めた。決勝戦の試合後、キャプテンへのインタビューがあった。勝因など、おきまりの内容についてやりとりがあった後で、「キャプテンとしてどのようにチームをまとめてきましたか」という質問に対し、一寸間をおいて「ぼくはチームをまとめていません」だって! 
スタンドからやや笑いが起こった。チームをまとめるキャプテンの役を果たし得ませんでしたという弱気な発言と聞こえたのだろうか。謙遜だととった人もいるのであろう。でも、ぼくはテレビの前で嘆息を禁じ得なかった。「まとめる」ということへの端的な否定に聞こえたからだ。そして、ぼくの思った路線で、しかし思いもよらないような内容が、続いて答えられた。
「このチームはひとりひとり自分の考えをもっていて、それを尊重しようとしてきただけです。」というような答えだった。さらに、皆が自分の役割をわかっていて、それで優勝に繋がったとか何とかいう話だったと思う。伏し目がちに語る、その口からでてくる堂々たる言葉は、高校生とは思えないようなしっかりした答ではないか。それ以前に、なんともしっかりした考え方ではないか。
まだまだこの社会は、まとめるということへの肯定はフリーパスだ。大勢の人をまとめるのが教師の力量だなどと思っている人がまだまだ多いであろう。まとめるって一体どうすることなのか。たきぎ拾ってぐるっと縄で巻くんぢゃあるまいし、人だぞ。
しかし、若い人はもはや「まとめる神話」には依拠してないことの実例なのかも知れない。そうであれば、頼もしい。新しい時代の到来みたいで、のぞましい。
ふとふりかえれば、ぼくもそんな園長を目指していると言っていいような内容だ。みなと祭パレード・グランプリと甲子園出場とでは、成果が違いすぎるなあ。ほほほ。
境高校、甲子園出場おめでとうございます。