小春日和はひなたぼこ
屋内で座り仕事をしていたら凍えるようだったので、ぬるんだ湯を沸かしなおして、前園長の遺産で冷蔵庫に眠っているこぶちゃを入れて、すする。
まだ寒い。外のベンチで日向ぼっこしながら、園児と群読する俳句を物色する。
大木に日向ぼっこや飯休み 鬼城
園庭の大銀杏は何故かまだあおあおとしている。大木を仰ぐと斜め上にお日さまが出ている。おむすびを食べ大木にもたれて日を浴びながら、しばし休んでいる木こりの句かなあなどと貧しい想像を浮かばせていたら、うつらうつらし出す。
うとうとと生死の外や日向ぼこ 鬼城
幽明の境とか夢うつつとか、ひなたぼっこしながらのまどろみがそんなところへ連れて行ってくれたら極上のまどろみ。でも「生死の外」とは、文字通り極上のひなたぼっこだ。
茶色のちゃぼが小さくうずくまっている。彼女はご老体でどうやら体の具合がよくないようだ。生死の境目など、この目を閉じるほどささいなものだというように、眠っている。こんなひなたぼっこの渦中、彼女はどこにさまよい、どんな夢をみているのだろう。