雪の力量

雪が降った。何で雪が降るとあんなにどきどきするんだろう。たとえば、降り始め。胸騒ぎがあのはらはらと落ちてくる雪に、駆り立てられる。
ものは場所に「於てある」。場所は、ものの「於てある場所」である。ものと場所は切り離せない。
冷気を頬と足元に感じながら朗らかな雪空をながめていて、ふと気づく。雪の落ちる速度。あんな早さでものが落ちるなんて事がおかしいのだ。他のあらゆるものの落下より明らかにおそい。それが空間を変容させる。ものの違いが世界変容をもたらす。狭間をスライドする時、こころはどよめく。