子どもの言葉(12)体と私

自宅から私の職場まで、娘が初めて歩いた。40分まではかからない位の所要時間。その道すがら娘のいった言葉が頗る興味深かった。「足は疲れたって言ってるけど、ウチはまだ歩ける。」
小学1年生の身に起こっていることが、こんなふうに気づかれ、表現されている。そもそもの体験とそれの認知とが一体どうなっているのか、そしてどういう言葉でそれを解明したらいいのか。
肉体と精神の違いが子どもにも認識されていると規定したら、いかにもつまらない。分かったような気になるからだ。足の言葉と私の言葉との違い、あるいはその聞き分け。私がよくいう「意識の肥大と体の不在」ということ、その萌芽形態としての体と意識の分裂。意識と体の非同心円構造の発露。はてさて、何というのがふさわしいところに娘は立っているのか。