子どもの言葉(16)すべての人には土地が

「ぼく、土地がほしい」と、息子。「え?」とぼく。「土地があれば名前が変わる。何々の守(かみ)何々っていうでしょ」「きみ何時代の人やねん!?」と笑ったのですが、「かみ、すけ、じょう、さかん」のかみでした。
風呂から上がるぼくを待ちかまえていたように、彼が立ちはだかって言う。「ぼくも土地もってる!」。そして、みぞおちあたりを指さして不敵な笑みを浮かべる。そして無言のまま。「ほんとだ!」と歓声をあげるぼく。そこで彼「西元からだのカミ確」というので、こっちも笑った。「この土地の中には色んな国があるし、強い武将もいるよ。土地をもってない人はいない!」
歴史、生体、身体性、宗教性、それらのるつぼのような発想だ。文系と理系なんていう境界は架空のロープに過ぎないよね。しかも色褪せて、切れんばかりのロープ。