リアルの境界・子どもの居場所
一番下の娘が、夜不意に泣きだした。
かわいそう。白い馬がかわいそう。
『スーホの白い馬』という絵本の、あるページを見てのことだった。そのページには、スーホという主人公の愛する白い馬が、とのさまの家来たちに一斉に弓の的になっているページであった。
- 作者: 大塚勇三,赤羽末吉
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1967/10/01
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胸が苦しい。そう繰り返し言って、泣き方は号泣になっていく。顔を泣きぬれて崩れるばかり。胸が苦しい。どうしようもない。かわいそう。
絵本の馬をなでながら泣き崩れている。どうしていいかわからず、どうかしなければいけないということでもなさそうに思い、でもとにかく号泣するのをよしよしといいながら、、物語の結末を読み進めることにした。しかし、馬頭琴という楽器になったということは、やはり彼女の涙を止めるものにはならなかった。『スーホの白い馬』は名作中の名作で、私もかなり胸をつかれたが、これほどまでではなかった。感受性の触発されるもとになる、リアルの境界の広さ高さ薄さ等に関わるのであろう。