恩と陰

たくさんの小学生と話す機会を得て、彼らが楽な仕事がしたいと考えていることを知った。小学生のみならず、これが本音である大人も多いのではなかろうか。私も、楽はつまらんと思えるようになったのは20歳を優に越えた時期だ。楽とは体を使わないこと。体を使わないとは行為をしないこと。すると、恩という言葉が死語になる。
恩とは自分のために行為がなされたことを言う。自分が生きてあることを成り立たしめているのは、人の恩であり、それに先立つ天地の恩である。自分というものが関係性としてあるということ、恩とは、私と世界の構造の真実を言い当てているのである。それは、自分の存立の背後に目に見えない計り知れないものをしるという、お「陰」さま感覚によって察知される。なので、恩を知ることで人として成熟したことになるであろう。
恩知らずの子どもを育てないようにしよう。恩着せがましい大人にならないようにしよう。