父離れ記念日?

あとから考えると、あのときが父離れの第一歩だったと思うんぢゃないかなあああ、というような小さなやりとりがあった。小学3年生ともなると、女の子めいてくるものだ。娘に、髪が短い方が似合うということを私はよくいうのだが今日もそういったら、「雫(自分の名)もそう思うんだけどさぁ、長いほうがいろんな髪ができるでしょ」「へえ、髪を結んだりなんだりするのが女の子はおもしろいんだねえ」「父さんは女の気持ちがわからないからそんなこと言うんだよ。ママの気持ちもロクにわかんないし」と、いわれちゃいました。おっしゃる通りなのですが、まあ「女の気持ち」ときたもんだ。

あまがさ (世界傑作絵本シリーズ)

あまがさ (世界傑作絵本シリーズ)

『あまがさ』という絵本がある。音のきれいな、しっかりした絵の、娘が新しいあまがさを使える日を心待ちにするお話なのだが、話の最後に、それが父の回想であることがわかる。そのあまがさにまつわるかわいい思い出が、同時に、せつなさをともなう記念日だった。父と手をつながずひとりで歩いた最初の日だったという回想なのだ。
ところで、そんな哀感のある話ではなく、笑い話半分なのが、冒頭の「小さなやりとり」とはこんな話。娘と病院に行って、妻とぼくとも伴って、ドクターから話を聞く。話が終わって、いよいよ聴診器をあてる。「さあ聴診器当てますから、服上げてください」そしたら娘がぼくに言ったのは「父さん、あっち見てて」。今でもまだまだ一緒にお風呂に入りたがったり、自転車の後ろに乗りたがった、だっこーと言ってきたりするんですけどね。「しーちゃんはとーさんのこと大好きでしょー」と茶化すと「とーさんのだっこが好きなだけで、とーさんは好きぢゃない」などとへ理屈をこねるのですけれどもね。