命とは破天荒

景色が広々とするほど、今年の雪で多くの木々が折れ、裂けた。

大きな枝があたかも首の皮一枚でつながって横たわっている姿を見ると、痛々しくて枝を早く切ってしまわないとかわいそうなどと思いがちである。

小じんまりした生命観にもとづいて「命を大切に」とか「いのちの時代だ」とか言っても、生命を見くびるなと言いたくなる。命をお行儀のいいスケールでとらえることが、命に対する思いあがり、と言って悪ければ生命に対する不遜だ。
生命とは自己超越していくものをいう。形が定まったと思ったら、それを自ら破っていく。そうでなけりゃあ生物進化なんてありえない。
薄皮一枚でつながっているようで無残に見える、そこにこそ、生命は噴出するのだ。こちらの思い・見た目の痛々しさとかおかまいなしに例年通り膨らむ蕾・ほころぶ花は、底知れなく美しい。