えほんによせてー「バーバパパたびにでる」

子どもたちも大好きなえほん、「バーバパパ」シリーズ。フランス語で「わた菓子」をも意味するらしく、子どもが好きなはずですね。「わた菓子」のみならず「わた」も子どもは大好きで、わた摘みをしたあと子どもたちは、かならずそのわたを手に駆け出しておともだちに見せに行くのです。わたは雲みたい。雲は、子どもが一度は乗ってみたいと夢見るもの。雲は変幻自在ですが、バーバも体の形を自由に変えられるのです。それが実に魅力的で、あこがれるなあ。

バーバパパたびにでる (バーバパパえほん)

バーバパパたびにでる (バーバパパえほん)

かわいらしく楽しい話の背後に、フランス的な思想の背骨がしっかりと一本通っている感じです。バーバパパのシリーズを読むことで養われるのは、エコ・動物愛護・戦わないという姿勢etc.日本の子どもたちは、戦ってやっつけるというテレビ番組が余りに多すぎて、そのことが普通になってしまっています。今や女の子のアニメでさえ主人公は戦士なのです。
ぼくにとってあこがれの父親で理想の夫はバーバパパです。バーバの七人の子どもたちは、スポーツ好き、音楽好き、芸術家、おしゃれさん、動物好き、読書家、発明家という多様ぶり。主人公が子どもで芸術家という日本の絵本やアニメを思い浮かべることができるでしょうか。バーバは色が一人ひとり違っていて、デザイン的にもかわいくすてきです。
豊かさとは多様性です。「物は豊かになり心が貧しくなった」という発想での「豊かさ」イメージは、量の多さ。でも、多様性とは質の多さ。違いを認めるということ。多様性を認める心はもつのは簡単ではなくて、でもそんな心が身につくことが、人としての成熟だろうなと思うのです。