死相

長女が私をからかおうと、デジカメの写真を見せに来た。僕の顔の鼻の穴を大きく引き伸ばして笑わせるつもりなのか、でもぼくはあんまり見たくないものを見たと思いつつ、ズームがきいている箇所をずらしてみた。すると、目元にフォーカスされた。そこでわっと驚いた。死人の肌の色なのだ。
そういえば、時折妻に言われる。コンビニなどに行く時に僕が車の助手席で待っていると、店から出て車に帰って来る時、ぼーっとしている僕の姿は、こわいのだそうだ。犯罪者か死人っぽいらしい。
死者の身体っていったい何なのか、どういう位置を持つのかということが、大きな謎であった時期もあるので、私は死んだあとの体を見たり触れたりしたことは何度もあるが、あの写真、よく似ているのだ。何だか部分的には死んで来たなと思った。だいぶ死者に近くなったな、とも思った。死者の国に親近感を覚えたところで、一挙に死者たちががやがや押し寄せてくるように目の当たりになったわけではなく、まだまだクラスに友だちがにいなくて誰も話しかけてきてくれず誰にも話しかけないような状態なのであるけれども。
5年ほど前の写真。くぼみはすでにおぢいさんっぽい。
最近の死者色