彼方からのやりきれない蒼白

訃報のおそれを抱いてすごした夜が
あけて晴れわたる冬空
子どもたちはキラキラと輝いて
うっかりすると泣いてしまうほど
まばゆすぎる朝


勘違いするな
まばゆいのは
晴れてるからではない
子どもが無垢だからではない
水平線のむこうから
風が吹きこんできて
はこばれてきた彼方の空気が
みちてしまったがためなのだ
胸苦しさが空間に溶けだしてしまったのだ


とてつもなくはかなくて
私が、ここに、生きているなんて
これっぽっちも確かではなくて


自然の死だろうが殺をとおした死だろうが
106歳の男だろうが29歳の女だろうが
むなしさでひとしくて
彼方はみちてしまって


それでこんなにまばゆいのだ