世界の転回軸となる一言

Hi-standardというバンドの曲で次のような歌詞がある。


DEAR MY FRIEND


I just had to take some time
Get back to what was mine
Get away from my sweet crazy life
Hey good buddy it's been a while
How are things for you up there
This is all I need to know
I'm here  Your's there now

Sorry but I have to say
If feels good to be alive
Go my way nobody gonna bring me down

If I get lost in the dark
Can you tell me what went wrong
If I fall down in the dirt
Can you lend a hand

The sky is blue
The sun,it shines
It's the same for everyone
You and I will meet again
So I won't say good bye

Dear my friend
Now you have your freedom
Dear my friend
Can you hear I'm calling  Dear my friend

What is love  What is happiness  What am I
Past,present,and future
Life is going  Life is going



(対訳)

自分を取り戻すために
俺は少し離れた場所にいる
甘くて狂った生活から逃げ出したいんだ
君とはしばらく会ってないけど
そっちの生活はどうだい?
でもこれさえ分かっていればいいや
俺はここにいる 今君はそこにいる

これだけは伝えたいな
生きるって気持ちがいい
やりたいようにやるよ
誰も邪魔なんかしないはずさ

でももし俺が闇に迷ったら
何処が悪いのか教えてくれるよね?
もし俺が泥にまみれたら
君は手を差し伸べてくれるよね?

空は青く
太陽は眩しい
それは誰にだって同じ事
またいつか会えるんだから
「さようなら」は言わないよ

親愛なる友よ
今でも君は自由なんだろ?
親愛なる友よ
俺の声は届いてる?
親愛なる友よ

「愛」ってなんだろ?
「幸せ」ってなんだろ?
「オレ」ってなんだろ?
過去、現在、そして未来へ
人生は続いてゆく・・・




訳あって離れて過ごす二人を歌っているのであろうが、ライヴでこの曲を始める前のコメントによって、この歌の意味や世界が一変した。
年末にハイスタの番組をなんとNHK教育テレビでやっていて吃驚。2000年頃、学生さんが貸してくれたので聴いた。そのポップセンスのよさにだいぶ聞いた。そのライブ映像を、グレイのライブとともに授業で流して、宗教の二つの様相や境位についてのモデルとして、一遍の宗教の位相と重ねて論じたりもした。そのモデルを更に「意識の肥大、体の不在」という現代社会の根本問題としてえぐり出して見せもした。
そのハイスタはメムバー同士の仲互いによって活動していなかったらしいのだが、今回の311があってから、再結成したようで、そのいきさつのドキュメントが番組になっていた。
再結成ライブは、震災によっていてもたってもいられなくなったメムバア―の魂を「届け」という言葉に込めて、行われた。
11年ぶりのライブで、ヴォーカルの難波君は「よし、この曲をね」といって上方を見て「天国にもたくさんの仲間たちがいるぜ。届けよう!」と言い放ってdear my friendを演奏しだした。この言葉によってかの歌は人間同士の関係、同じ平面上の別空間というだけの舞台が、生者と死者との異世界の関係へと一転したのだった。
ハイスタのテレビ番組なんて見て泣いてるっていやなんだけど、初めの一言のインパクトから始まった演奏を聴きつつ、歌詞をたどって行くごとに、涙が出続けた。