メリークリスマス

わが家にはサンタさんは来ない。寺に住んでるから、仏教徒だから、それらは理由の一つ。キリスト教徒でもないのにクリスマスを祝わなくてもいい、とも思っている。仏教徒ぢゃなかったとしても、そしてサンタの格好がコカコーラ発のスタンダードであることが象徴するように、もはやクリスマスは宗教行事ではないということを肯うとしても、天邪鬼だから誰もがやってるクリスマスはやらないだろう。
ついでに言うと、イエスは神の一人子であり人間の罪を背負って十字架にかけられたのだとぼくは本気で思っている。宗教的に見て、クリスマスは花祭りであり、最重要な行事ではない。十字架の死によって、覚りによってこそ、イエスはキリストであり、釈迦は仏陀なのであるから、そここそが第一義的に重要であって、その出来事を歴史的にさかのぼって肉体の誕生まで伝説化するというのがクリスマスや花祭りの賑わいである。
こういう発想が普通である親の元に生まれた子どもたちは葛藤する。息子はさほど気にしなかったようだが、娘たちは小さい頃は「なんでうちにはサンタは来ないの?」といい、もう少し大きくなると「クリスマスなんてうちはやる必要ない」と言いつつ、その正当化をいろいろ考えたりするようになった。クリスマスという世の中がこぞって盛り上がる日々や浮かれ気分に乗ることのできないジレンマや世間とのずれを感じながら育ち、今日、長女はクリスマスのホームパーティーらしきものに声をかけてもらったので行き(それを禁止する気はない)、小6になった娘は、床についた。と、その直前に末娘が靴下でも置くように枕元に置こうとしたものがある。
それは、さんたさんへと書かれたエアメールの封筒と小さなビニル袋にリボンをかけたプレゼント。
え?これプレゼント?ときくと、「色々やってるから」という。「色々って?」ときくと「子どもたちに色々やってるから」と、言う。サンタから一度もプレゼントをもらったことのない娘がサンタさんにプレゼントをする! はかりしれないふところの発露だ。