2006-01-01から1年間の記事一覧

大根が白く人参が赤いわけ

「だいこんだいこん なぜ しろい にんじんにんじん なぜ あかい」という歌を紹介してくれた松森先生が「なぜでしょう? わかる人いますか?」とたずねたという話を7月27日にしました。そのつづき。講座が終わり帰りそうになっている先生を足止めして、述…

老骨に残りし花

お盆前の炎天下、あれ? 炎天の下なのか、炎の天下なのか・・・・ うだる夕方の路地で、夫婦とおぼしき老人を追い越した。一台の自転車を翁が押し、その荷台に両手をついて寄りかかりながら、媼が歩く。その歩みは、止まりがちというか、止まっていて時折歩…

採点終えてMach Pelican

やったあああ。やっと終わったあああああ。この数日、書斎(なんて言うと格調高いねえ)にこもって答案を読みこなしていました。採点中は聞けなかった音楽を、あとは点数を指定の用紙に書き込むだけになったので、かけてっと。Mach Pelican聞きながら、単…

死んで悪いか、いのちだろ

かぶとむしが蛹から孵って、土の中から黒く美事な角を顕わにする。と思うと、もう交尾をしている。何日かして、その黒い雄姿は土の上ではや動かなくなっている。たちどころに飼育ケースはかぶとむしの墓場になる。あっけないと言えばあっけない。虚しいとい…

ぬりかべ

久しぶりに見た月は三日月。久しぶりに見たたくさんたくさんの星。天の川が氾濫したのかしら。田舎の夏の夜です。 ぬりかべカバンが話題になっていましたが、想像を膨らましていた方ごめんなさい。写真載せちゃいます。田舎の通りに売っている既製品、でも愛…

大根は白く 人参は赤い

夏休みらしく晴れわたる海岸線を電車でなぞりながら、島根県浜田市に着いた。まことの保育大学講座なるものに参加するためだ。中四国から幼稚園保育園関係者が130人ほど集まって講義を聴いたり酒を飲んだりした。私が園長であると知ると人はたいそう驚く…

青天の霹靂・雨天の高速バス

空梅雨を挽回するかのような豪雨になった山陰です。水曜日は、境線という、各駅に妖怪の名前が付いているローカル線の始発で「子なきじじい駅」を経ち、米子から伯備線という揺れの非道い路線で岡山、そこから新幹線で新大阪、更に近鉄線で高の原駅まで行っ…

DAYS JAPANを読もう

DAYS JAPANという雑誌の今月号が、遺伝子組み換えに関する特集を組んでいます。 遺伝子組み換えは問題が重層的で多岐に渡るのですが、問題の一つの焦点として、農薬会社が遺伝子組み換え作物を作っているところに、その危うさを垣間見ることができ…

食卓で

夕食時、小学校一年生の息子が話していたことに、しばし箸が止まる。 生まれてすぐ死んじゃう子もいる(だから好き嫌いせず食べなきゃいけない、と妹たちに語っているという文脈)。食べ物がないからだ。それなら、食べ物を送ったらいい。 ここまでの発想は…

私はよく噛む。噛むことに目ざめた経験があるからだ。その打ち上げ花火によって明るくなった世界を、すかさず「宇宙人による地球革命」という冊子にして(両親は自営の印刷屋さんなので)、知人に配った。革命という言葉を初めて自分の言葉として使った。こ…

春過ぎて夏来にけらし

虫も花も猫も、春。というタイトルを付けていた、そういう時節に書いていたことが、こぼれていた。夏になって発見。季節はずれだけど、今も色とりどりの花が野辺にはあるので、ま、いっか。 幼稚園という職場は若い女性が主で、しかもうちの園は美人ぞろい。…

宗教学ふうに

宗教を考えるための枠組みに、世界宗教と民族宗教、創唱宗教と自然宗教などがある。創唱宗教というのは言い出しっぺのいる宗教のことで、イスラム、仏教など。自然宗教とは自然発生的な宗教くらいの意味で、地縁や血縁によって結びつく共同体の宗教。共同体…

磁石と釘

寺で話をする機会が、時々降ってくる。「僧侶よりも僧侶的」だとか、「いつ僧侶になってもおかしくない」「そのうちになるはずだ」などといわれながら、一向になる気がない。それだから機会は少ないが、好きな仕事の一つである。もし僧侶でなくても話をさせ…

兎の名

園ではうさぎを二羽飼っていて、園児が時折うさぎ小屋に入ってエサをあげたりして遊んでいます。この春卒園したお子さんのはなしですが、その子がうさぎの世話をしているのを見ていたら、うさぎの名を呼んでいるのです。園では名前を決めていなかったので、…

犬の名 猫の名

「名を呼ぶことの不思議」というサブタイトルで授業をしている。この数年来ぼくに取り憑いているのがこのことなのだ。名なき人の死を悲しむものはいない、と切り出して授業を始めた。 ところで、学生さんが『はれた日は学校をやすんで』というマンガを貸して…

「みんなちがってみんないい」の射程

「みんなちがってみんないい」を感傷的に、情緒的に感動するのはたやすいことである。この詩句を生きようと思ったら、生やさしいものではない。4月20日にこう書きました。ついでにこの句のカイシャクを少し。 「違い」の肯定はどういう射程をもっているか…

多なる生命体と一なる生命

『生命の本質と条件』所収の拙稿の一部をまたまた引いておきます(すでに2月15日と2月16日にも引用しています)。 冒頭の問い「人を殺すことはなぜいけないのか」に応えておかねばなるまい。〈生命は自分のものではない〉〈自分のもとはもはや自分とは言えな…

天上天下唯我独尊と「オンリーワン」

音楽は偉大だから、それに「世界に一つだけの花」はいい歌だから支持者が多くて、歌詞にイチャモン付けると評判がよろしくない。「ナンバーワンにならなくていい」と言いつつ「オンリーワン」は劣等感を潜めている。だからややもすると、競争を廃する。運動…

天上天下唯我独尊

先日、園で一と月遅れの花祭りがあり、園児の前で話をしました。 園児と共に、身は右手は天を左手は地を指すという形をとって、口には「天上天下唯我独尊」と言いました。身口意の三業を「天上天下唯我独尊」で統一するには、意識にもそれを満たさねばなりま…

西元和夫の授業へようこそ

新学期が始まりました。一時間目のテーマは「閑」。暇つぶしはやめよう、暇過ごしをしよう。創造的な閑はどっち向いたら出会われるか、ってんで学生を外に連れ出して大の字になって寝転がりました。秋なんかは特に外に出ることが多いのですが、受講生が多い…

「どの花見てもきれいだな」!

ちゅうりっぷの花を何十年も見ているし、「咲いた咲いた」のちゅうりっぷの歌を知って何十年にもなる。色とりどりのちゅうりっぷを眺めながら、かの歌を口ずさんで、今年初めて嘆息した。「赤白黄色、どの花見てもきれいだな」おお! 感動したので、幼稚園児…

「形なきものの形を見」、さくらの花の絨毯を踏む

花びらが散っている道路の写真。何が見えますか。道。その道の状態、土か、アスファルトか。そして散っている花びらが何の花のそれか。桜か梅か椿か。いえいえ、写真に写ってないものがみえるでしょ? 写ってないからこそ、目に見えてしまった限りの限定性を…

櫻・狂・西行

春風に花をちらすと見る夢は覚めても胸のさわぐなりけり なんて鮮烈な夢だろう。なんて鮮烈な寝覚めだろう。起きてからの胸騒ぎの脈動はいかばかりか。こんな夢を見るほどに櫻に憑かれていた西行の、櫻の歌は、狂おしいものがおおくて挙げだしたらきりがない…

何園の園長?

園長になったという報告に対して、ぼくの憧憬の的の先生より以下のコメントをいただきました。 「“園”というのは、どういう園ですか?幼稚園、茶園、庭園、エデンの園? 」 思いもよらないこういう切り返し、本当におもしろいと思います。そこで僕は以下のよ…

新年度のあいさつ

園庭の櫻が見頃です。通りを行く人が思わず足を止めて見入っています。今日は始業式で、久しぶりに子どもたちが登園してきました。式で職員の担当を紹介する時、今年から園長になったので、その旨紹介してもらったのですが、その時の園児たちの呆気にとられ…

おむすびの魅力

子どもはおむすびが好きだ。時折、今日はおむすびにして、と言い出す。幼稚園の給食で、主食を全然食べない「おかず食い」の子がいるし、逆の半分だけが空っぽになっている子もいる。ご飯が進まない子に、先生方が魔法をかける。魔法の粉は、効果てきめんで…

雪の愉しみ

また、雪でした。雪国生まれのせいか、雪はいつ降ってもいいものです。春の雪、園庭には彼岸桜がさいていて、そこにもうもうと雪がおおう。花びらか雪片か見まごう。2005−12−07に書いたような願望をひそめているぼくにとっては、ねがったりかなったり。つぼ…

数値化されないもの

この商品を何個売った、何人の人と契約を結んだ。仕事が数値として表される場合がある。何の免許を持っていて、どういうキャリアがあって、という具合に、言語化できる能力もある。数値化、言語化、は客体化である。その人のある部分を対象化したもの、つま…

客観語に親和性のない現実

野球の試合を最初から最後まで見たのは15年ぶりくらいだろうか。WBCの準決勝で、解説者が言っていたことがおもしろかった。実況中継のアナウンサーが、その時の投手のコメントを紹介していた、すなわち「スピードガンで計れる速さとは違う速さを目指し…

雪の神秘

雪が降った時の静けさって、何なんだろう!?